昨年の晩秋に菩提寺のある広島県の尾道を2年ぶりに訪れました。東京からはるばる訪れた主目的は「お墓参り」。
しかし、滞在中の時間の大半は“海街散策”。
今日の記事は時系列で順番に書いていくと途中でまず自分がつまらなくなってしまって完遂できなさそうな予感があるので、時系列は気にせずのショートストーリー全7編に仕立てていきたいと思います(╹◡╹)
⛴️尾道水道。
この町で生まれ育った方達にとっては、尾道水道の風景は、『放浪記』の作者、林芙美子さんが感じていらっしゃったように、きっと人生の“原風景”なんだろうな、って思います。
では“尾道水道 十六景” をお届けします♪
僕の父が生前、その原風景を目にしたのはきっと、亡くなる20年ぐらい前が最期。でも、今はもう毎日、この水道の上を吹き渡れているかも。
🐈猫。
前方に見える山の名前は千光寺山。
有名な『千光寺』が山頂にある山ですが、この山は急な坂道続きであることでも有名です。
そんな坂道群の中に、『猫の細道』という“観光名所”があります。
10年以上前には、現DAIGOさんの奥様もCM撮影でここを訪れたそうです。先日、2人目のお子さんを出産されたというニュースが出ていましたね☺️
この細道にはこんなにたくさんの猫がいるらしいのですが.....
今回、僕が出逢えたのはこちらの3匹だけでした。
それでも行けば必ず会えるのはこちらの『福石猫』。尾道出身のデザイナーさんの作品です。
こうやって猫のことを記事にしている僕だけど、ここで、「我が家にいる猫は、、」って思いを巡らせてみると。
僕の記憶の限りでは、我が家には6匹の“猫”がいますが、今日の記事ではそのうちの1匹をご紹介します。
“I know why he looks so sad.”
この猫は、もともとは “巨大魚の上でその巨大魚を釣り上げようと挑む勇敢な猫” で、実務的な役割としては、置き時計の振り子だったんです。
2011年3月11日の東日本大震災で巨大魚ごと転落事故に遭い、そのまま“失業”するに至りました.....
当時、制作元にメールして、「郵送したら有料修理してもらえる」ことまで確認したのに、その後なせか郵送作業に気後れしてしまい先延ばししたまま12年が経過していました。
当時なんですぐ対応できなかったのかなぁ...
実はこの置き時計は、今から30年前、当時は恋人だった妻への2回目の誕生日プレゼントでした。
僕にとってすごく大切なはずのことなのに。
実は今回、「初代福石猫」の頭を3回撫でてきたので、このことを思い出せたのは、福石猫がくれた福なのかもしれません....
製造元にあらためて再度、今でも修理してもらえるかを問い合わせてみようかな。
🖼️おのみちアート🎬
尾道水道沿いの海岸通りにある遊歩道の壁面に絵画が展示してあります。
この場所は屋外の無料美術館です。
約150mにわたって一定間隔で尾道の風景を描いた絵が展示されているんです(╹◡╹)
この町が好きで好きで仕方ない人がたくさんいるんだろうな☺️
尾道にはこの美術館の他に『映画資料館』があります。
でも僕はここに一度も足を運んだことがありません。
その理由は大林宣彦監督作品が全くないから。
尾道商工会議所と大林宣彦監督は“喧嘩状態”にあったため、尾道の観光ガイドにも大林三部作のロケ地案内は使えない状況にあるんだそうです。
どちらがどうだったのかわかりませんが、大林監督は約4年前に他界されているし、もう和解の術も承諾の術もなく、映画資料館はきっと一般の人からするとこのままずっと不自然に欠けたまま。
いいとか悪いとかではなく、大林監督作品が好きだった僕にはホントに残念。大林監督作品がこの映画資料館で展示されることは尾道市の活性化にも絶対につながるとも思うのに。
中学1年生の時に家族4人で観た2本立ての映画の1本が大林監督の劇場映画デビュー作の『ハウス』というファンタジーホラーでした。
この映画を観て、主演の池上季実子さんに恋してしまった僕でしたが、当時、アイドルではなく女優さんだった池上さんはドラマや映画でしか“会えない”人でした。なかなか池上さんに会えないそのせつない思いを、同じくこの映画に出演していてその後アイドル歌手デビューした大場久美子さんを好きになろうとすることで紛らわそうとしていたことを思い出しました。。なけなしのお小遣いをはたいて確か600円だったシングルレコードを4枚も買っていました。笑
大場久美子さんは現在までに心理カウンセラー、認知行動療法士他、20以上の資格を取得して活動をしているそうです。今ここをしっかり目一杯生きている人生の先輩だ。かっこいい。
この章の結びは、おのみち映画資料館に、理屈を超えて、大林宣彦さんの監督作品が展示される日が来ることを祈って、YouTuberさんからこちらの動画をお借りします。当時の僕は、もちろんこのレコードを持っていました☺️
🍻尾道のクラフト。
「尾道オリジナルのクラフトビールってあるのな?」
そう思いながらネット検索して見つけました☺️
尾道ブルワリー | 1894年築の古蔵で造られるメイドイン尾道のクラフトビール
『尾道ブルワリー』は、尾道駅を出て少し歩いたところにある本通り商店街を15分ぐらいまっすぐ行ったところにあります。ボーッと歩いていたら(少なくとも僕は)その存在に気づけないさりげなさです。
建屋の中に入って10mぐらい歩いたところにある小さな販売店舗の中には、小さなL字のカウンター。
そして壁面にはメニューが。
僕が注文したのは『飲み比べセット』。
そこでふとひらめく。
「これ、彼に送ってやろう」
“彼”とは、歳は一つ上の同期入社で、この月に会社人としての“大きな節目”を迎えた友人のことです。
彼と僕は入社後の配属で共に大阪勤務となり、同じ独身寮で生活する仲間でした。しかし、彼は入社3年目に社内の国内留学に応募して合格し、僕より一足先に東京へ戻ったのです。
彼が大阪からいなくなった年に、僕は独りで大阪から在来線のみ利用の日帰りで、物心ついてから実質初めて、尾道を訪れたのでした。
その時に千光寺で購入したA3横サイズの一枚紙。タイトルには『極楽(しあわせ)・地獄(ふしあわせ)の岐(わか)れ路(みち)』と書かれていました。そこには、「幸福の近道」と「不幸を自分で造る人」という2つの区分で、さまざまな対比が列挙されていました。
例えば、「幸福への近道」では、“良心と優しい愛情に満ちた人”、に対して、「不幸を自分で造る人」では、“利己的・気侭・自分本意の人”、と言った感じです。
当時の僕には、これの一枚紙に書いてあることの多くがなんだかとっても心に刺さりました。
その時にふとひらめいたのが、
「これ、彼に送ろう」
今、思い返せば、彼に手紙を出すための“大義名分”が欲しかったのが一番だったと思います。
当時のことを振り返って、彼は時々こう言います。
「なんであれ送ってきたのか今でもよくわからないけど、でもあの時、“あーこれであいつとは本当の友達になれたな” って思ったのを覚えてるよ」
彼とは、実質、尾道から始まったご縁だから、節目のお疲れ様も尾道から、ってのもいいかな、なんて☺️
でも今回、きっと彼はまたこう思ったかもしれません。
「なんでわざわざ高い送料かけて、これ送ってくれたのかよくわからないけど」
🍋福の檸檬。
尾道駅前にある百貨店;福屋。
この尾道店は1999年オープンとのことですが、僕が尾道を不定期に訪れるようになったのは、2000年後半からなので、この百貨店は“いつもそこにある”シンボルのような存在でした。
入口のガラスに何か貼ってあるのに気づき、近づいてみると。
あまりに想定外でびっくり🫢
ネットで調べてみると、コロナで売上が激減して、以降回復しなかったことが理由だそうです.....
何か最後に買おうって思ってフロアを歩き回って選び、ホテルに持って帰ってきたのがこちら。
瀬戸田の檸檬葉で包んであるだけなのかと思ったら、シャリには皮ごとすりおろした檸檬が混ぜてありました✨
尾道福屋内の『尾道船弁』という売店だけで販売されていた商品のようですが、この『尾道船弁』は福屋のお店と一緒に閉店するようです。
瀬戸内海で採れた魚と尾道市瀬戸田町の檸檬のコラボ。そう意識しながら食べると美味しさも増し増しに感じられるような企画商品だなって思います。
尾道市内のどこかで販売再開されるといいな....
🏮“アンコウ”の煮付け。
2年前に尾道を訪れた時に来て、「次回も絶対にここに来よう!」って決めていたお店。
『しみず食堂』。第二次世界大戦直後が起源のとっても長い歴史のあるお店です。
オーナーの奥様と料理人のご主人は、どう見ても、話のやりとりを聞いていても、仲良しご夫婦☺️
全てがありのまま存在する、って感じの安心の空間。
店内は、訪れたお客さんが残したポストイットのメッセージで一杯です😊
さて、この日、僕が注文したのは2年前と同じ3品です。食べ過ぎ?😅
でも煮付けの魚が違います。
2年前はこちらの魚。
通称『タモリ』、正式名称は『瀬戸鯛』です。
そして今回の魚は、、、🐟
ご主人に尋ねたところ、返答は一言、
「アンコウ!」
アンコウ???なんかイントネーションが不自然だったので、「アンコウですか?」ってすぐ聞き返したのだけれど、「そう!」とおっしゃるので、「んー、アンコウってこんな見た目だったっけな??とにかく珍しいから食べてみよう」って思いながらこのお皿をおかずが並ぶ冷蔵庫から取ったのです。
お味はとっても優しい白身魚の煮付け☺️
ほぼ完食、という頃、僕は2年前のことを思い出しながらこんなことを考えていました。
「あの時は奥様が、食べ終えた魚を引きあげてあら汁にしてまた出してくれたんだけど、今回はお声がけはないし、あれはあの時だけの特別だったのかな...」
完食した僕は、表に出てきた奥様に一言。
「ごちそうさまでした!」
奥様は、「はい、ありがとう・・・あっ!お魚、あら汁にしてあげてないね!🫢」と一声。
心の鎧が外れている僕は、それに対し、あまりに正直すぎるリアクション。
「あっ、2年前はあら汁にしていただいたけど、あの時はサービス、いつもあるわけじゃないんだなって今日は思ってました😅」
奥様は、「言ってくれたらよかったのに〜」。
僕は、「いえいえ、そんな😅」
まさに昭和生まれの日本人ならでは会話、と思いました(笑)
そしてお会計。
「2,400円です。」
心の中で思わず「えっ?想定外に高い、かも🫢」
お店を出た後、歩きながら暗算。
「ラーメンと太巻で1,000円ぐらいのはずなんで、あの煮付けは1,400円ぐらいしたんだよな、、アンコウってやっぱり高級魚なんだな....」
その時ふと、ご主人とのやりとりを思い出す。
「アンコウ、、いや、もしかして聞こえた通りの“アコウ”だったのでは、、、」
「アコウ」をネットで検索。
うわ、出たよー😵
『アコウ(キジハタ)』。
全国的に水揚げが少なく高級店でしかお目にかかれない至高の白身魚”、とのことでした(^^;
思い返せば。
「そもそも、どう見たってアンコウの風貌してないじゃん😓」
☺️「当たり前」の幸せ。
今日の結びの記事は、可愛いアンコウから受けた“タスキ”なので、今回の尾道滞在中、最もほんのりワクワクした出来事を書きます٩(^‿^)۶
帰りの電車に乗る前の最後のひととき。
これまで尾道に来た時はいつも混雑していて入ろうとも思わなかったこちらのお店。
この日はウィークデーだったことで、ほとんどお客さんがいないのが外から見てわかりました。
「よし、入っちゃおう!」
ここは甘味処、お団子屋さんです。
僕が注文したのはこちら。
窓際の席に座って、日常の景色をボーッと目にしながら☺️
もうホントに超美味しいお団子🤭
抹茶のほんのり苦味とも最高のバランス✨
甘いものってやはり身体にはあまり良くないんだろうけど、でも心が喜んでいる時はその良くなさもある程度までは“中和”されたりするんじゃないのかな、なんて思ったりします🤔
一泊2日で訪れた今回の尾道。実は今日の記事でご紹介していない食べ物・飲み物がまだあるんです🤭
さぁ、全部出てこい٩(^‿^)۶
僕はいつも朝は食べない一日2食。半日断食スタイルは旅の間も変えていません。それなのにこんなにたくさん一体いつ?(笑)
食べたいものを食べられること、飲みたいものを飲めること。これって当たり前のようで実はとっても有り難いこと、幸せなことなんだな、ってことをいつも以上にしっかり感じる今回の旅でした。
なぜなら、、昨年末に4編の記事にした京都訪問の前々日まで、夏に罹ったコロナの後遺症で、数ヶ月間、逆流性食道炎に悩まされていて市販の漢方薬を飲み続けていたから。京都出発前日に「このままだと旅先で楽しく飲み食いすることもできない😐」って確信し、「旅行期間だけ!」と覚悟を決め、漢方から“化学薬品”に変更したのです。
これが旅の初日から魔法のように抜群に効いてくれました。化学薬品嫌いの僕ですが、京都、そして尾道の旅が終わるまで、ずっとお世話になったこの薬にはとっても感謝です。
年が明けてふと気づくと逆流性食道炎の症状は不思議と治まり、お世話になったこの薬ももう飲む必要がなくなりました🍀
当たり前に食べられること、当たり前に飲めること。そのことへの感謝を表す術があるとしたら、それは、今食べている・飲んでいるものの味を、考え事をしたりしながらではなく、しっかり味わうこと、なのかもしれませんね。